セルタに見るバルサ攻略の糸口:リーガ

3週間前の試合になりますがラ・リーガ第7節のセルタvバルサの試合にバルサ攻略の、攻略とまではいかなくても相当に苦しめることのできるヒントを見つけたので紹介したいと思います。
バルサは、リーガではアトレティコを推している私としてはどうにもやっかいな存在です。(レアルも少し好きです)
ちなみに私の父親は以前バルサのソシオ日本支部の会員だったので、その時期はバルサのグッズがいくらか家にありました。


余談ですが、私は大学3年生の秋頃までビジネスをしていました。その時の後輩が今年の6月頃にインテルとローマへのサッカービジネス研修に行っていたことをブログで知りました。
いいなあああ。羨ましい。。。
日本初のプログラムらしく、実際にインテルのオフィスに訪れてインテルの長期戦略をビジネスの観点から学んだらしいです。こっそりとブログを読んで勉強させてもらおうと思います。


この試合のスタメンは以下の通りです
バルサ
GKテア・シュテーゲン
RBセルジ・ロベルト
CBピケ
CBマテュー
LBジョルディ・アルバ
MFブスケツ
MFアンドレ・ゴメス
MFラフィーニャ
FWアルダ・トゥラン
FWスアレス
FWネイマール


セルタ
GKセルヒオ・アルバレス
RBウーゴ・マジョ(ちょーーーー大好き!!)
CBカブラル
CBセルジ・ゴメス
LBロンカグリア
MFネマニャ・ラドハ(ちょーーーーーーーーー大好き!!!!)
MFダニエル・ヴァス
MFパブロ・エルナンデス
FWテオ・ボンゴンダ
FWイアゴ・アスパス
FWピオーネ・シスト


さてこの試合バルサはCLとのターンオーバーを活用し、マスチェラーノやメッシやイニエスタをメンバーから外しました。だとしても豪華すぎる布陣。
対するセルタはノリートの去った左のワイドに昨季ややブレイクしたボンゴンダを、右のワイドであるチリ代表オレジャナのポジションには新加入のシストを起用しました。セルタはアスパスを加えたこの3トップが今季は非常に好調です。
しかし戦力的に見てセルタがバルサを大きく下回っているのは明らかです。果たしてバルサキラーのベリッソ監督がどのような戦い方をしてくるのかとても注目の試合でした。


セルタがこの試合、バルサ相手に使った戦術は試合開始早々から明らかになりました。
ずばり、「マンマーク」
自分の持ち場を作りその近辺に相手が侵入して来た際に守備を開始するゾーンディフェンスが近年のほとんどのチームの守備戦術です。セルタも普段はゾーンディフェンスをメインに守っていますが、この試合でベリッソ監督は選手たちにマンマークディフェンスの指示を与えます。
そしてこの戦術は見事にはまります。

ゾーンディフェンスの弱点はマークの受け渡しです。
例えば右サイドでプレーする選手が相手の左サイドの選手をマークするとしましょう。ゾーンディフェンスの場合は自分のマークの選手が中央に流れて行ったり自分をかわして更に深くまで侵入するとなった場合、味方の選手に自分のマークを渡します。この瞬間に相手の左サイドの選手のマークは他の味方選手の仕事に変わります。


バルサが強いのはこの受け渡しの瞬間を利用してDFを翻弄することです。
バルサの前線は基本的にポジションが流動的です。メッシが2列目に下がってゲームメイクをすることもあれば、スアレスとネイマールがポジションチェンジをすることもありますし、ラキティッチやセルジ・ロベルトは自分のポジションを離れて前線の空いたスペースに走り込んでプレーするのが上手い選手です。
このポジションチェンジの瞬間、多くのチームはマークの受け渡しに苦労します。バルサのポジションチェンジは意識的にしているというよりレベルの高い選手たちの瞬間瞬間のアイデアや判断で行われます。いちいちルイス・エンリケが指示を出すことはありません。そしてそのポジションチェンジは非常に素早く、かつ相手の急所を突くプレーに素早く展開されるため一瞬でもフリーになればすぐに決定機をバルサの選手たちは作ってしまいます。
対戦相手の多くはバルサを研究しますがこのポジションチェンジの連動の中でマークの受け渡しにほころびが出来て、それによって生まれたスペースをバルサに利用されます。


そこでセルタが用いたのはマンマークです。

自分がマークする選手がボールを離したり、プレーが途切れるまで原則ひたすらマークし続けます。この守り方はバルサに局面で数的優位を作らせないためです。プレーに関与していなくても常にマークの選手に意識を集中させ、その選手が他のポジションに移動しようとすれば例え自分が持ち場を離れることになっても追いかけます。これによりバルサは厳しいマークに会い中々数的優位を作り出せず、得意のポゼッションを高めることができませんでした。


ならどのチームもマンマークで対応すればいいじゃん?


と思うかもしれませんが、マンマークの弱点もやはり存在します。
1番の弱点は、かわされたりマークを剥がされた瞬間どフリーを作ってしまうということです。まず大前提にマンマークでは抜かれない、剥がされないがあります。
しかしバルサの選手はどの選手も技術が高く、1対1の勝負で勝つことができる選手ばかりです。人によっては1対2でも突破できてしまいます。つまりいくらマークの受け渡しに失敗するのが怖くてマンマークで守るからと言って抜かれたり剥がされれば意味はありません。そして多くのチームはバルサの選手の世界最高峰の技術を前にその前提をクリアすることは難しく、多くがマンマークを採用しません。


しかしセルタは果敢にもバルサ相手にマンマークをしていました。
右サイドバックのウーゴ・マジョはスピードと運動量に優れたセルタのキャプテンです。マジョはこの試合ネイマールをこれでもかとマンマークしていました。どのくらいかと言えば、右サイドバックのマジョがネイマールを追いかけてハーフェーラインまで行ったり、CBの裏を狙おうとするネイマールに対し味方CBを飛び越えて最終ラインの真ん中まで徹底的にマークをしていました。そしてほとんどの勝負でネイマールを抑え込むことに成功しています。

バルサのポゼッションの中心であるブスケツにもセルタはマンマークを着けていました。ブスケツにはアスパスやヴァスが厳しく寄せることで前を向かせずバックパスを出させるような守り方をしていました。シストの先制点は厳しく寄せられたブスケツがボールロストしたシーンから生まれました。

セルタはまるでプレミアのように奪ったボールをFWめがけてロングボールを蹴り続け、そのうちアスパスに上手く渡った場面でアスパスはピケを振り切り2−0のゴール決めます。
セルタのマンマークにイライラを募らせるバルサは人数をかけて攻めますがそこにも対応したセルタは自陣に10人の選手を敷き、前線にアスパス1人を残して守り、それが上手くゴールに繋がった1点でした。

こんな感じで、あれ?ウェストブロムかバーンリーの試合でも見てるんだっけ?
と言わんばかりの徹底した引き方とFWの1枚残し。
さらにこの後1点目同様出しどころのなくなったバルサからボールを奪ったセルタはシンプルに前線へと高速クロスを送り込みマテューのオウンゴールで3点目をもぎ取ります。


バルサがコーナーからピケのヘディングで1点を返しましたが、さすがにこれはセルタの高さではかないません。
さらにエリア内で厳しく当たりすぎたためにPKを与えてネイマールに決められ3−2と追い上げられます。

それでもセルタはマンマークを辞めません。
このシーンではロングを蹴りたがらないテアシュテーゲンを苦しませるようにセルタはバルサのDFよりも高い位置までマークを仕掛けます。結局この後出しどころに困ったテアシュテーゲンは最後の最後でロングを蹴ろうとしますがそのボールはパブロ・エルナンデスにぶつかりゴールネットを揺らします。流石にテアシュテーゲンの判断の悪さが出ましたがここに寄せているのがセントラルハーフなのが驚きです。


終了間際にスアレスがレベルの違いを見せつけ2人を交わしクロス、このボールにまたしてもピケが飛び込み4−3としますがこれまで。結果的にセルタはこの試合バルサに勝利を収めています。

セルタのDF陣はリーガの中でレベルの高いDF陣かと言えば決してそうではありません。今季は9試合で17失点を喫しています。
それでもこの試合セルタの選手たちは果敢にもバルサ相手にマンマークを仕掛けました。バルサの強力な攻撃陣に突破されたり、エリア内で倒したり、3点を追いつかれてもマンマークを辞めなかった。この勇気は技術ではない力です。
バルサ相手には入念に戦術や作戦を練ることも重要ですが、ある程度のリスクを犯してもやり続ける勇気と気持ちが必要です。恐らくメッシやイニエスタが入っていてもそうしたでしょう。
ここまでバルサが苦しめられてやりにくそうなのは久しぶりに見ました。


レアルとアトレティコ以外、17チームをセルタにしたら面白そうです(笑)



以上、3週間前のセルタの戦い方にバルサは上手くいっていなかったなあと思い突発的に書いたてみました


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