ジダンの抱える5つの悩み:リーガ


代表ウィーク前の公式戦で4試合連続ドローを記録したマドリーには、ボスのジダンに向けていくつかの懸念をあげる声があります。
開幕から公式戦5連勝を飾ったチームが急速にパフォーマンスを低下させ、4試合連続ドローを引き起こしたのですから様々なメディアがマドリーに、そしてジダンに今何が起きているのかと論じ合うのは当たり前のことです。
目の肥えたマドリーサポーターはこの代表ウィークは複雑な思いで過ごしていることでしょう。後味の悪いまま中断期間に入ったことによって、問題の原因を作っているのは誰なのか、バーで言い合う姿が想像できますね。
サッカー史上最高のクラブの周りには常に微かな変化やほころびに対し反応する人間で溢れています。それはマドリーの宿命でもありますね。メディアとしても最もダイレクトにお金に変わる話題や記事だし、ファンとしてもマドリーのプライドがありますからね。


今回はそんなマドリーにおいてジダンが抱えている5つの悩みを紹介したいと思います


①鍵を握る選手の負傷
カゼミロの負傷はマドリーにとって非常に大きな痛手です。痛すぎます。
前傾姿勢になりがちなチームのバランスを一人で整えているといっても過言ではないカゼミロには常に最高の賛辞が送られて来ました。攻撃的でアグレッシブなサッカーに魅了されることに慣れたマドリーのサポーターが守備専門の選手を賞賛することは珍しいことです。それほど、マドリーにとってどれだけカゼミロが重要なのかサポーターも十分理解しているということでしょう。
さらに追い討ちをかけるように、チームの絶対的な司令塔ルカ・モドリッチも負傷者リストへと追加されてしまいました。
クロースとともに、決して他の選手では再現不可能なゲームメイクを見せマドリーの攻撃を操り続けたモドリッチの負傷もまたチームを非常に苦しめることになるでしょう。
カゼミロとモドリッチを欠いた中盤は質の低下が必至です。


②イマイチなBBC
ベイル、ベンゼマ、ロナウドという強力な3枚は相手チームにとって名前も聞きたくない存在でしょう。この3人あってのマドリーの迫力ある攻撃ですからね。
しかしここまでの成績は決して満足のいくものではありません。
ベイルは公式戦8試合に出場し3得点。
ベンゼマは公式戦7試合に出場し2得点。
ベイルはここまでの試合を見ても消える時間帯が多いような気がします。彼の武器であるスピードは90分間相手に脅威を与え続けるものですが、今季は大人しい印象を感じます。もちろんボールを持てば欧州2位の選手として特大のポテンシャルを見せつけますが、、。
ベンゼマの2ゴールはどうですか?マドリーファンの方からしたらモラタと代えろ!と言いたいところなのではないでしょうか?今最も脂の乗っている23歳のストライカーの存在をベンゼマが意識しないわけないですよね?おそらく近年マドリーがベンゼマと競わせているライバルとしては最もレベルの高い選手だと思います。イグアインもいましたが当時はベンゼマが好かれていましたね。

負傷のためシーズンの序盤を欠いていたロナウドのパフォーマンスはいかがでしょう。彼はここまでリーガでは4試合で1ゴールしか決めていません。代表選では4ゴールしましたが、この1ゴールというのは切ないですね。
リーガで13ゴールを挙げているMSNに対しBBCが6ゴールなのはジダンも頭を抱えるはずです。そしてプレシーズンで絶好調だったマリアーノに回って来た出番はここまでわずか17分間です。


③守備の脆さ
マドリーの守りに硬いイメージは特に持っていませんが、それでもここまで公式戦9試合でクリーンシートが2試合しかないのはどうなんでしょう。直近の4試合では6失点を喫しています。
まず目につくのはラモスの不安定さです。今季はどうも判断ミスや1対1で負けてしまう場面が多いように思えます。ファイナルまで進んだCLとEUROでの戦いを考えれば、代役不在の選手にもかかわらず休養が少なすぎます。ただでさえ毎年出ずっぱりなのにもかかわらずシーズン開幕までもらえたバカンスが短ければコンディションやパフォーマンスの低下にも発展しかねません。
彼のところでバランスが崩れればおのずとラファエル・ヴァランやぺぺ、しいてはケイラー・ナバスの負担も大きくなります。
まあでもラモス一人の責任ではないですけどね。今まで相手の攻撃を潰してくれていた選手がいないんじゃあCBにかかる負担も大きくなりますわ。嗚呼カゼミロ。。


④ジダンの指示は適切なのか
4試合連続のドロー前からマドリーは今季のパフォーマンスに対して問題視されている点がありました。いわゆるチームスピリットの低さです。試合をこなしても何度も同じミスをし、一向に1試合あたりのミスプレーの数字が減らないとMARCAでも言われています。
そこで多くのメディアが疑問になったのは選手の質やコンディションよりもジダンは適切なアドバイスを与えられているのかという点でした。普段の練習やドレスルームでのジダンに問題があるのではないかと指摘する声が多いようです。
昨季途中に就任し半年でチームをCL制覇に導いたことへの賞賛は多いですが、言ってもジダンはまだまだ新米監督であり、トップレベルでの指導における経験値は他のビッククラブの指揮官とは大きな差があるのは確かだと思います。絶対的なカリスマ性で選手に崇められてはいますが、現場での実力に対する疑問がここにきて上がっているのは事実です。昨季のCL制覇がマグレではなかったことを証明しなければいけません。


⑤見劣りの否めない控えメンバー
個人的にここが大きな問題としてジダンに向けられるべきだと思います。強いてはサッカークラブの域を超え世界中に大きすぎる影響力を持っているレアルマドリーが故の問題なのかもしれません。常に最大級の結果と内容を求められるマドリーにおいて出場機会を与えられるのは真に優れた世界的な選手ばかりです。質だけでなくネームバリューも要求されます。
散々取り上げているカゼミロがマドリーの主力に定着したのは昨季途中からでそれまではポルトへのローン生活を送っていましたし、スペイン代表にも呼ばれるようになったルーカス・バスケスがマドリーでトップチームデビューを果たすのに5年もかかっています。モラタやへセやカルバハル、今季復帰したアセンシオなどの下部組織出身者が若くしてスカッドに入れるのは稀なことです。大金を積み時の選手を獲得し、即刻チームに順応させることを半ば強制的にこれまで多くの指揮官は課されて来ました。
その反省もあってか今季マドリーに純粋な新戦力はほとんどなく復帰組が中心です。チームの成熟度を高める上ではベストな選択でしたが、如何せんマドリーの11人は固定化される傾向がジダンの下では特に強いです。
采配におけるフレキシブルな選択が出来ず代役不在の選手が多くなりすぎました。スタメンとの差が大きくないメンバーといえばぺぺやモラタくらいでしょうか?
特にカゼミロのポジションを出来る選手が他にいないことは問題です。
ジダンはこのポジションにマテオ・コバチッチを起用したりアンカーではなくWボランチを敷くなど応急処置をとっていますが、コバチッチにしろイスコにしろハメスにしろ普段中々出番が回ってこない選手に急に最重要ポジションを任せるのは少し酷な気がします。彼らが優れた選手なのは間違いないですがカゼミロやモドリッチと同じ仕事をしろと言われても準備不足すぎます。
カルバハルとマルセロの明確な控えがいないことも懸念事項です。ナチョやコエントランがいますが彼らはタイプの異なる選手たちです。非常に攻撃的で技術に優れたカルバハルとマルセロの代わりを務めるのは容易ではありません。
バスケスとアセンシオ、出来ればマリアーノにももう少し出番を与えるべきです。試合における感性は練習では養えません。
固定化されている11人に今回のような負傷者が出て成績を落としてしまうのはそういったベンチワークにも問題があるのかなと思います。


常に勝利を求められるマドリーだけにベストの中のベストの選択をしなければならないのは分かりますが、控えメンバーの試合勘も鈍らせてはいけません。
んーー、とても難しい要求ですね。


果たしてマドリーは、ジダンは今季どのような成績を残すでしょうか。
そして代表ウィーク明けのリーガ、CLは注目して見て見たいと思います。同じような事態になってしまうのか、何か改善がされているのか。様子を見て見ましょう。




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