サッカー好きな皆さんなら、今季レッズのイングランド代表FWラヒーム・スターリングが如何に多くのクラブを虜にし、彼の獲得に法外な金額を積ませているのかご存知でしょう。

２０１０年、１５歳の頃にリヴァプールのユースに加入したスターリングは加入後すぐにその才能を見せつけます。出身のジャマイカで培った脚力を武器に、同世代では飛び抜けた実力を発揮しその活躍はすぐにレッズのトップチームへと知れ渡ります。
２０１２年３月のウィガン戦で１７歳でトップチームデビューを果たしました。
次のシーズン、指揮官に就任したブレンダン・ロジャースは１７歳のスターリングを開幕戦から使い続けました。当初はスピード任せで雑なプレーが目立ち、評価は高くはありませんでしたが、実際殆どのプレミアのDFは彼と並走したら追いつけていませんでしたね。
その８ヶ月後には同じく１７歳の若さでスリーライオンズに選ばれ、ジェラードの記念すぎべき代表１００試合目のスェーデン戦でデビューを果たしました。

デビューから３年が経った昨季、柔軟なボールタッチとCFでもプレーできる適応力に加え、水準以上の得点力も手に入れた彼は２０歳にしてレッズの前線を支える重要なキーマンへと成長しました。しかしこの活躍に満ち足りなかったのか、もっと有名になりたいのか、もっとお金が欲しいのか、スターリングはレッズの提示する契約延長の交渉の場で新契約に対してなかなか首を縦に振りませんでした。彼の心はもうすでにマージーサイドにはなかったのでしょう。

そんな彼に、シーズン終了後様々なビッククラブが関心を寄せます。
ロッペン・リベリーの２大ウイングがそろそろ無理できない年齢になったバイエルンが、ウイングの後継者としてスターリングを指名しました。
他にもレアルマドリーやパリサンジェルマンなどのクラブが２０歳の快速アタッカーにラブコールを送ります。
様々なビッククラブが熱視線を送る中、法外とも言える５０００万ポンドをレッズに提示したクラブの出現によって他のクラブをスターリング争奪戦から離脱させました。
ご存知の通りマンチェスターシティです。

デビューからまだ３年の若者にかけられた５０００万ポンドという金額は正直パンクです。
今、猛烈なポンド高が起こっている中での５０００万ポンドです。
５０００万ポンドは日本円にすれば、１ポンド１９１円なので、約９５億です。

スターリングは確かにいい選手ですし、未来のある、イングランドの希望です。
ですが、レッズでは恐らくファンの９割が「スターリングよりもジョーダン・ヘンダーソンやフィリペ・コウチーニョの方がチームに重要だ」と答えるでしょう。
今季レッズが３５億円前後でホッフェンハイムからブラジル代表のロベルト・フィルミーノを獲得したり、ジョーダン・アイブに契約延長を提示したのは、「スターリングは別に出て行っても、もう大丈夫だよ」と暗に示しているようでした。

そんなこんなで正直スターリングに５０００万ポンドの価値はまずないです。
適正な市場価格はそうですねえ、、２５００−３５００万ポンドだと思います。
ではなぜ彼にここまでの金額がつくのか？

それはもう何度も以前の記事で書いている通りシティの抱えるホームグロウンルールが原因です。
イングランドではリーグや代表の強化を進めるために、１８歳までに３年以上はイングランドのチームや下部組織でプレーしたことのあるホームグロウン選手を、登録選手２５人中８人は登録しないといけないホームグロウンルールを敷いています。なので優秀なホームグロウン選手を巡って各チームが取り合いをしたり、自らの下部組織の強化に励むのです。イングランド人って海外にほとんどいませんよね？そういうことです。

シティにはハート、リチャードライト、ローン中の選手数名しかホームグロウン選手がいません
今夏にリチャーズやシンクレア、ランパードなど数名のホームグロウン選手を放出したのでだいぶ焦ってるというわけです。早速先日から、ヴィラのイングランド代表のファビアンデルフ獲得に出ています
そんな状況ならスターリングは欲しいですよね。
高齢化とホームグロウンという２つの悩みをクリアしてくれるのですから

そんなシティのスターリングへの需要を理解したリヴァプールはうまい具合にオファーを断りながら、移籍金を釣り上げてきたのです。

気づけば５０００万ポンドにまで移籍金が跳ね上がったというわけです。

さてシティはスターリングに５０００万ポンドを払うでしょうか？
効果的な戦力補強をしつつホームグロウン選手を獲れるでしょうか？
スターリングは順調に成長して行ってイングランドの英雄になれるでしょうか？

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