今季好調!何故、今エヴァートン?:プレミア


宿敵エヴァートン


リヴァプールサポーターにとってエヴァートンは常に身近な存在であり、小さい頃から憎むべき存在として家族に教育されるようです。
アンフィールドはヨーロッパを代表する歴史のあるスタジアムで、このスタジアムのKOP(リヴァプールサポーター)が歌うリヴァプール出身のバンド、ジェリー&ザ・ペースメイカーズが1960年代にカバーしたYou'll Never Walk Aloneは世界中のあらゆるクラブがアンセムに採用しています。
しかし、もとわと言えばアンフィールドはエヴァートンのホームスタジアムです。
今から100年以上前にエヴァートンのチーム内紛争により(確か賃金の問題)チーム関係者の多くがアンフィールドを去り、グディソン・パークを新たに建設しました。ということで空いたアンフィールドに別のチームを作ろうと生まれたのがリヴァプールFCでした。
なのでアンフィールドとグディソン・パークは川と緑の公園を挟んだ直線距離600mしか離れていないところに立っているんです。


マージーサイド州では長らくリヴァプールがサッカーの中心でした。エヴァートンは毎年のように上位進出が期待されながらボトムハーフに終始しており、加入する選手や監督もリヴァプールが一歩先を行っています。もちろんタイトルの数もです。
エヴァートン地区の名産物ミント・トフィーのいうお菓子にちなんだトフィーズという愛称は、レッズの愛称で世界的に認知されているリヴァプールとは異なりとてもマイナーなものです。かつてスタジアムで無料配布していたお菓子を愛称にするよりも、リヴァプールはクラブ史上最高の監督ビル・シャンクリーの作ったチームの象徴「赤」に誇りを持っています。(すみませんなんかリヴァプール贔屓で)
そんなどこか隅に置いやられているエヴァートンですが、今季はプレミア開幕5戦で4勝1分とスタートダッシュに成功しました。その後は一息つき、現在は4勝3分1敗と例年にないよい幕開けを維持しています。
今節もシティ相手にあと一歩で3ポイントという惜しい試合をしていましたね。


なぜ今季エヴァートンは好調なのか?
昨季と何が変わったのか?
私なりに色々考えて見たのでよかったら読んで見てください


①守備の安定
昨季55失点だった守備陣はただでさえジョン・ストーンズが移籍したことにより開幕前はどうなるのかと噂されていましたが、ここまでうまく機能しています。
新守護神のマーティン・ステケレンブレクがリーグ最高の出来を披露しており、マーケットの後半で獲得したアシュリー・ウィリアムズはウェールズの躍進とともに第二の全盛期を迎えフィル・ジャギエルカとプレミア屈指の鉄壁DFラインを築いています。

基本は4−3−3の形をとり、中盤の3センターはギャレス・バリー、イドリサ・グイエ、ロス・バークリーと二人の守備的な選手を主に配置し中央のスペースを堅く固めている印象です。両CBはクロスボールへの強さはもちろん、バリー、グイエとともに中央のスペースも上手く消しています。強固なブロックに加えステケレンブルグの神がかりなセービングもあり相手アタッカーからすれば難攻不落でしょう。
少し心配なのは、ウィリアムズとジャギエルカはともに30歳超えでありシーズン通してフィジカルコンディションを落とす時期が来るでしょうしその時にどうブロックを組むのかです。フネス・モリはより攻撃的な守りをする選手で経験値は両者に遠く劣りますし、ファウルも多いです。モリ以外だとペニントン、ブラウニング、ホルゲイトという若いDFしかしないところが気になります。
とはいえ守備の安定がこの好調に与えている影響は大きいと思います。ウィリアムズとジャギエルカは共にリーダータイプですし、チームに精神的安定をもたらす役割もしていますね。


②ロナルド・クーマン
実績のある優秀なオランダ人監督はエヴァートンでの最初の練習では落胆したとコメントしていました。昨季まで率いていたサウサンプトンと比べ、前任のマルティネスの下自信を失ってたチームは覇気がなく走力も酷かったそうです。クーマンが後ろにベテランを補強し、ファイターのグイエを獲得するなどピッチ上で気持ちを見せられる選手を加えたのは大きいと思います。
またクーマンは限られた戦力で最高のものを出すスペシャリストです。マウリシオ・ポチェティーのから引き継いだサウサンプトンはリヴァプールに多くの選手を抜かれ戦力ダウンをしていましたが最終的には昨季はリヴァプールよりも上の7位でサウサンプトンをフィニッシュさせています。新天地での序盤戦もクーマンは新戦力がまだ合流間まもなかったり、怪我人がいる間上手くシステムをやりくりして結果を出しました。
開幕数試合は3−4−3を導入してジャギエルカ、ホルゲイト、モリの3バックに加え中盤のウイングバックにはボランチのトム・クレバリーやジャイムス・マッカーシー、ウインガーのヤニック・ボラシーやジェラール・デウロフェウをコンバートさせていました。クーマンは頭がおかしくなったのかと思いましたがこのシステムが上手く機能していましたね。コールマンやベインズのような経験値はなくとも、守備と走力を規律としてチームに敷きバランスのとれたを試合をしていました。開幕当初の連勝にこの急増3−4−3を採用した戦術眼は流石としかいいようがないですし、このシチュエーションで前任者のロベルト・マルティネスならどうしていたのか考えると、、、。また頭を抱えてエヴァートンファンからバッシングされてまた今年もダメかあと溜め息が聞こえるのが想像できませんか?(言い過ぎか)



③ルカクの残留
ルカクの父親ロジャー・ルカクさんは目立ちたがり屋ですねー。
クラブよりも先に息子に届いたオファーをSNSに晒すし、息子が発言していないにも関わらず◯◯に息子は行くべきだ。とか、将来は◯◯でプレーするとか勝手に言いふらしていましたよね。
ルカク本人も移籍の希望はあったようですが割と早い時期に残留を決めていたようです。もう少しエヴァートンにいた方がストライカーとしてより脂が乗りそうですしね。しかしここで情報が食い違います。ロジャーさんは、息子はEURO後に(前だったかな)移籍先を決めるとか言ってましたけど、多分時系列的にすでにルカクはエヴァートン残留に傾いていたと思います。だとしたらその発言の真意は、、んーーー、エヴァートンをビビらせて給料UPを狙っていたのかな?

とにかくエースのルカクが残留したことはチームにとって非常に大きいです。堅い守りから、ボラシーやデウロフェウやミララスといったアタッカーが高速カウンターを決めてルカクが決める。この流れが上手く行っており、ルカクはここまで6試合5ゴールと絶好調です。彼の欠場中に出ていたエネル・バレンシアが0ゴールということもあり、ルカクが残ってくれたのは相当大きいですね。
エヴァートンはアジア資本になりましたし、ビジネスの面からも新たな市場開拓のためにこのストライカーの知名度は必須ですしね。
熱狂的なチェルシーファンの彼が再びチェルシーに想いを募らせる前に取れるポイントは取っておかないといけません。


④補強部門の大活躍・新戦力の当たり
まず初めにフットボールディレクターの役職にスティーブ・ウォルシュと契約できたのは一番の補強かもしれません。
前任のレスターでは全くの無名選手だったリヤド・マフレズやエンゴロ・カンテやジェイミー・ヴァーディを獲得し後のリーグ優勝の最重要選手へと成長さています。岡崎やフクスやモーガンやフートといったベテランを獲得しチームの戦術に適合させる戦術眼は、もはやダイレクターのレベルではありません。

そんなウォルシュの下行われた今夏の移籍マーケットでエヴァートンは今季の好調を支える重要な選手たちを迎え入れます。
以前にも記事にしましたしここでも上述しましたがまずは何と言ってもGKのマーティン・ステケレンブルクの獲得と成功です。選手としてはピークを過ぎていた印象の強かったステケレンブルクを獲得しファーストチョイスにしたことへファンは不安を抱いていたことでしょう。エヴァートンにはティム・ハワードというプレミアの歴史にも残る偉大なアメリカ人GKがいましたから彼の存在感と比較するとどうしても物足りなさを感じます。しかしステケレンブルクはいい意味で期待を裏切り続けています。久しぶりにオランダ代表のゴールも守りました。一つしかないGKのポジションを衰退気味のステケレンブルクにし、ここまで機能させたのは素晴らしいとしか言いようがありません。

ウィリアムズやグイエといった選手もここまで移籍を成功させています。ウィリアムズもステケレンブルク同様やや衰退気味の感がありましたが、EUROでウェールズをベスト4に導いたパフォーマンスはとても素晴らしかったです。ベテランの再起に賭けたエヴァートンはここまでその賭けに勝っているといえるでしょう。ジャギエルカとの堅い守りは、スパーズのアンデルワイレルドとフェルトンゲンに次ぐものがあります。プレミアでの経験が豊富で強靭なフィジカルと強いリーダーシップを両者は見せています。
そして2人のスピード不足を補うために広いエリアをカバーしてくれているのはこれまた新加入のイドリサ・グイエです。皆さんグイエのこと知っていましたか?2年前までリーグ1にいたマイナーな選手なのですが流石ウォルシュ。彼のフィジカルとスピードがプレミアで通用すると見極めていましたね。そして今季からエヴァートンが目指すスタイルにもマッチすることを上手く見抜いた、素晴らしい契約でした。グイエの加入でエヴァートンの中盤の守備力は大きく向上しました。
ヤニック・ボラシーも忘れてはいけません。クリスタルパレスから加入したボラシーは8試合中7試合で先発し早くもチームでの地位と信頼を勝ち取っています。
彼の最大の武器であるフィジカルと馬力は今季そこまで取り上げられていませんが、それでもエヴァートンに欠かせないサイドアタッカーです。近年エヴァートンにはジェラール・デウロフェウ、スティーブン・ピーナール、ケヴィン・ミララス、エデン・マクギーティなどのどちらかというと技術に優れたアタッカーが多くいました。ボラシーは前者たちよりも技術面では劣りますがハードワークでは彼らよりも分があります。堅い守りとルカクの決定力を繋ぐ頻繁なアップダウンやスプリントをボラシーは厭わない選手です。

新戦力が軒並み当たっていること、ウォルシュが組閣したことにより今後の更なる原石の獲得に注目です。



いかがでしたでしょうか?自分なりにエヴァートンの好調を考えてみました。
ただ私はリヴァプールファンなのでこの記事を書いているときはずっと複雑な思いで書いていました。
「こんなに良いことばっかじゃなんか嫌だなあ」
「ルカクには今まで散々やられてるしなあ」
「とりあえず父さんをディスっておこう」
最後に報復も兼ねてエヴァートンの不安な点を。ずばり選手層です!
駒はいます。良い選手は多いです。けどその良い選手で今まで結果が出なかったんですから、流石にクーマンだって全員のプレーや意識を向上させるのは難しいでしょう。
特にCB、グイエ、ルカクのポジションに故障者が出ればベンチの選手では質が劣りますからね。さてどうなるものか、様子を見ましょう。


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